| 第13回:院長先生 | by空悟 野心旺盛の若おやじ |
今回お話しするのは5〜6年前、ある医院で 繰り広げられた実話である。 そう、あれは粉雪が舞う、とても寒い冬のこと・・・ あの冬、私は風邪をこじらせてしまった。 不覚にも。 39度の高熱。 ヘントウセンが腫れ食事も喉を通らない。 丸一日、会社を休み、家で寝ていたものの、 まともに食事を取れないせいか 2日目になっても回復の兆しがない。 高熱で意識がもうろうとする・・・ どうしよう・・・ んっ・・はっ!そうだ医者に行こう。 私は体を引きずるように、近所の凸凹医院へなだれ込む。 「風邪をこじらせてしまったようで・・ゴホッゴホ」 看護婦さん:「受付をしますので、しばらく そちらの椅子でお待ち下さい。」 周りを見渡すと、5〜6名はいただろうか。 いずれもご高齢者だ。 私とて、ご年配の患者を差し置いての治療など できるはずもない。 椅子に座りしばらく待つ。 しんどいが待つ・・・ すると、「空悟さん。診察室にお入りください。」と看護婦の声。 私は扉を開け、診療室に入る。 看護婦さん:「先生がこられますので、そちらの椅子に お掛けになってお待ち下さい。」 「はい。」 キッーカラカラ・・・キィー、キィ-・・・。 んっ? 何かを引きずる音。 次の瞬間、私は目を疑った!!! 私の前に現れた白髪の先生・・・。 ゆうに60歳は通りこしているだろう がっ!? なぜか自分の腕に点滴を吊り下げているではないか! 自ら点滴をぶら下げる台を押しながらの登場だ。 椅子に座る院長・・・ 息をのむ私・・・ 小刻みに手が震えている と、ふいに一言。 院長:「今日はどうされました?」 「おっ、おっ、お前が どないしたんじゃあぁぁぁいー!!」 その後、あろうことか、私は自分の手に点滴を打っている 院長先生に、「点滴はいいですよ〜」と言われながら 点滴を打たれ治療を終えた。 それから幾年かの月日が流れた・・ あれからあの医院には一度も行っていない。 医院の前でふと看板に目をやるたび あの時の、ありえない診療を思い返す私であった。 チャンチャン♪ |
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