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  第3回:土俵がいっぱいに詰まってるっす ごっつあん、の二 by ヘクトパスカル
 何というか、前回の続きなんでさぁね。
ワタクシの性質上、小金と暇が出来るとついつい逃避する癖がありまして、
「小人閑居して不善を為す」、つまらない人間が暇でいるとろくなことを
しないってな意味でして、まあそんな具合です。

 風光る四月に入ると、こんこんと湧いてきますでしょう、虫が。
お肌の隙間からむぞむぞと顔を出し、
何やら催促をするのです、迷惑にも。そりゃあ東風(こち)もピュッと吹きますわな。
 そこで、この機会をばとかねてから温めていた計画がありまして、いざ実行に
移さないとああ収まらないという思いが、おつむの中をへらへらぶんぶん飛び
巡った挙句の果てに、伊勢を目掛けてえいやっとばかりにスーパーカブの
本田サンを走らせた次第でございます。
(何の事はない、元祖国際秘宝館という愛がテーマの肉欲博物館が真の目的で、
スケールのでかい見世物小屋のような。そこの目玉といえば馬の@@Ю@@が
それで、もうもうそのいんちきたるや箱もの行政ばりの・・・・管理人さんの心労を
買わぬよう割愛、失敬。)

 道草しいしい伊勢に着いた頃には、まあ出発が遅かったせいもあり、目論見も
蟻のたかる甘ぬるさで、とっぷりと暮れていました。少しばかりうろうろ歩くと、
あ、ちょうちん。うん、ナイトスポット、焼き鳥屋さん。
薄明かりをまとうのれんの中から出てきたのは、巨大な銅鐸。
オバQラージサイズ、さぞかし低く伸びやかに墓石に染み入りそうな音響の釣り鐘。
ひもじくてもうひもじくて、お供物、仏罰、般若心経、おくもつ、有り難いお説教、
除夜の鐘、煩悩108つ、まわるまわるよめまいで回るそのお目々を凝らせば、
まあ力士のお歴々、赤ら顔の大銀杏。
 至福の笑みでハイヤーに納まってゆくにつけ、「羽根をもがれた飛べない鳥を
何羽召しやがった。
つわものどもがメシの後かぁ?つやつやしやがって畜生。」と、くちべろからこぼれ
ない様に悪態吐きつつ、ほら、出会い頭に合掌捻られる※のは腰くだけ※ですもの。
 ちなみにワタクシのありついた食事は、ごきぶりの好みそうな細い路地裏に鎮座
まします、高度経済成長に取り残された様なおもむきの札幌ラーメン屋で、ワタクシの
塩バターラーメンの声を合図に創作30分、黄ばんだスープに得体の知れない肉片、
溶け出すバターキューブ。味はいたってケミカル。
未来人の食べ物。古きを温(たず)ねて新しきを、ああ、未来世紀が目蓋に
浮かんでは消え、鉢を見やると刻まれ人参、削がれ玉葱、だらしない乳脂、くすんだ
獣肉。
 もう肌年齢もとっくに20年なんてフライングで、式年遷宮で社を建て変える前に、
俺を壊して新しく建て直して下さいお伊勢様な心境。

 伊勢うどんのつゆの様な黒いこころ。
 
  さても伊勢神宮、内宮。ご近所の伊勢会館の中にたむろする力士あり。
何やら。四月場所?(翌日にその場で奉納相撲があろうことは、その時には知ることも
無きことであろうことよ。ああ、うといなあ。)
 近くに「おかげ横丁」というレトロで小粋な町並みありや。
春先の寒さが沁みない袋小路。ありがたや。
そこに新聞紙でしとねを作り、その残りをお腹に巻き巻き、さらに雨合羽の黒装束で、
天照大神のお膝元で甘えるようにボン・ニュイ。
 我眠ろうとする故に我有る瞬間、物音、そして一条の光明、そこには・・・・・・ 
ああ、長い。もう封じ手※。

※合掌捻り、腰くだけ・・・・いずれも相撲の極まり手。

※封じ手(ふうじて)・・・・将棋用語。二日続きの対極の場合に、一日目の最後の
一手を記録し、その用紙を人目に触れぬ様にする制度。二日目に前日の状況から
継続して対極する。(小学館・能條純一著・「月下の棋士」より参照)


第1回:良いではないか式発電
第2回:土俵に何かいっぱい埋まってるっす ごっつあん、の一
第3回:土俵がいっぱいに詰まってるっす ごっつあん、の二
第4回:米俵から緑の汁があふれてるっ ううぷす ごっつあん、の三
第5回: 夏の夜は汗ばんで張り詰めて眠れなくてああヤ
第6回: 遺伝子組替え劣性頭痛伝達
第7回:マジカルミステリー ツールド アリマ
第8回: ガンダーラ 人々はそれがインドにあると言います
第9回: めばえ まびき
第10回: 繊細な感情の琴線に、ぶっとい指で、ポチっとな
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